そもそも、新卒採用とは?
新卒採用とは、卒業予定の学生を一括で採用する制度です。
新卒採用って意味わからない。
やったこともない仕事、出来るかどうかなんて分からないのに…。
気持ちはわかりますよ…。
日本の新卒採用の歴史をたどると、1918年(大正7年)までさかのぼります。
第一次世界大戦の時代です。
当時の日本は好景気だった為、たくさんの企業が大卒の人材を求めました。
しかし、その頃の大学は旧帝大しかありません。
企業が大卒を集めることができなかった為、高等小学校を卒業したばかりの若者を採用し、社内で教育を行っていました。
現在のポテンシャル採用と一緒ですね。
そして1918年、政府が大学を増やす政策を行います。
大学が増えたのは良かったんだけど、その後不況になってしまったんです。
世の中の景気が悪くなり、企業側が買い手市場になりました。
採用選考がされるようになったのも、大学に就活支援課ができたのも、この頃が始まりだと言われています。
新卒採用って意味ない?
大学3年の終わり頃に就活をする、大学卒業の年に社会人になる。
大学に通う就活生の一般的なルートです。(もちろん、違う道筋を歩む人もいます。)
そして、新卒で入社したその先にはきっと、定年までの長い職業人生が待っている…。
私の考えではありますが、そもそも今の時代に新卒採用は合っているのでしょうか…?
どういうこと?
新卒一括採用が効果を発揮したのは、高度経済成期です。
多様化した現在とは異なり、自動車や機械、繊維業などの第二次産業が主流でした。
さらに当時は経済成長率が年平均10%を超えていたそうです。
ちなみに、2021年の成長率は2.8%です。当時がどれだけ凄かったか分かりますね…。
毎年の成長が約束されていれば、年齢が高くなればお給料も上がる。
そして終身雇用も約束される。
それが今ではどうでしょう?
年功序列かと言われたら、そうでもない…。
トヨタ自動車でさえ、終身雇用が難しいと言っています…。
それどころか、政府が副業・兼業の解禁を推奨する時代です…。
日本の経済が製造業が主流で、年功序列や終身雇用が約束されていた時代であれば、新卒一括採用は素晴らしいものだったと思います。
ただ、今の働き方・考え方は当時とだいぶ異なります。
「昔からの制度だから」という理由だけで、惰性で続いているだけな気がします…。
誰でもそうだけど、変化することを嫌うところがあるよね
新卒一括採用、海外にはないらしい…
ドイツ
大学時代の友人がドイツにいるので、ドイツの就活事情について聞いてみたことがあります。
ドイツでは日本のような「新卒一括採用」はないそうです。
驚くことに、ドイツでは10歳の時に進路を決めるそうですよ。
小学4年生で進路が決まるの!?
大変だ!
ドイツでは10歳(小学4年生)の段階で、将来どんな仕事につきたいか決めるそうです。
進路は大きく分けて3つ。
・職人を目指す学校
・事務職や専門職を目指す学校
・管理職や研究者を目指す学校
ある分野のエキスパートを目指して学校に通う為、当然ながら日本のような「新卒一括採用」はありません。
その分、インターンシップの制度が充実しているみたいです。
アメリカ
アメリカに至っては、学歴重視の実力主義社会です。
大学で学んできた学科や成績が重視されるそうですね。
アメリカの会社は日本とは違い、会社が未経験者を育ててくれません。
就職後に即戦力を求められますし、終身雇用制度も当然ながらありません。
そういえば、簡単にクビになるって聞いたことがある…。
日本とは違い、雇用の流動性が高い(転職しやすい)ので、会社が未経験者を育てる文化はないみたいですね。
アメリカもドイツ同様、インターンシップを活用して実務経験を積むそうです。
日本の就活意味不明!って思ってたけど、
ポテンシャルだけで正社員になれるのはメリットかも…。
新卒採用のメリットもご紹介
日本の就活って意味ないなって思う時がありますが、もちろんメリットもあります。
せっかくなので、採用担当者が思う就活のメリットをご紹介します。
学生側のメリット、企業側のメリットそれぞれご紹介します。
新卒採用、学生側のメリット
・実務経験がなくても正社員になれる
・お給料をもらいながら会社が育ててくれる
・実務経験がなくても正社員になれる
先ほどご紹介したように、ドイツやアメリカでは実務経験重視。
プログラミングに興味を持ち、勉強してたら楽しくなりました!
よく見かける志望動機ですが、海外では100%通用しないでしょう…。
中途採用の業務も担当しているのですが、36歳くらいの方でもこんな志望動機を見かけるんです。
新卒や中途の分け方も、私からすれば意味不明ではありますが…。
ちなみに、36歳で「プログラミングに興味持ったから、IT企業に転職します」なんて志望動機は通用しません。
お気をつけください…。
・お給料をもらいながら会社が育ててくれる
新卒採用の1番のメリットは、研修期間中もお給料が発生することだと思っています。
会社によっては、新入社員の技術レベル別にクラスを分け、学校のようなスタイルで育ててくれるところもあります。
「出来が悪いからお給料減額です」なんてこともありません。
お給料ももらえるし社会人としてのスキルもつく。安心して学ぶことができますね。
新卒採用、企業側のメリット
・優秀な学生を採用し、自社に合わせた教育ができる
・入社後の定着率が高い
・優秀な学生を採用し、自社に合わせた教育ができる
私は中途採用の業務も担当していますが、中途で即戦力人材を採用するのって簡単ではないんです。
なんで?
即戦力になる人、いっぱいいそうなのに。
自社にマッチする人が転職市場にいないんですよ…。
例えば、とあるエンジニアの会社にて。
マネージャークラスのポジションに空きがあるため、中途で募集をかけることになりました。
まずは「こんな人に来て欲しいな」というのが出来上がります。
・マネージャーの経験はなくても良いけど、コミュ力高い人がいいな
・現場の実務経験3年以上は必須だよね
・銀行のシステムを作る案件を任せたい。過去に似たようなプロジェクトのアサイン経験あるかな?
・後輩や未経験者を育てた経験もほしいな…
・上司が40歳だから、40歳未満がいいよね
・年収は出せても500万かなぁ…。
※一例です。
いかがでしょうか…?
もちろん、能力の高い人はたくさんいらっしゃいます。
ただ、会社が求めている人材が転職市場にいるとは限りません。
その上、どこの会社もほしい人材が一緒なので、取り合いになってしまうんです…。
それならば、優秀な学生を採用し、自社にあう人材に育てていく方が効率が良くなります。
また、新卒採用者は会社の経営幹部候補になりやすいと言われています。
会社によって違いはありますが、総合職として社内の様々な職務経験を積み、管理職を目指すキャリアプランが多いですね。
・入社後の定着率が高い
就活中の皆さんは、新卒3年までの離職率を気にしたことがありますか?
「1年目でこんなに会社辞めてるの?」とか、「この会社、離職率低いなぁ」とか、色々思うところがありそうですが…。
新卒採用と中途採用、一般的にはどちらの方が離職率が高いでしょうか?
新卒入社の人の方が会社すぐに辞めそうだけど…。
中途で入社した方の方が、離職率は高いんです…。
学生から社会にでた新卒組と違い、中途入社組は他の会社を経験しています。
他の会社と待遇の比較ができたり、転職のやり方や退職の流れがわかっているため、離職率が高めになると言われています。
※会社によっては3年以内の中途定着率100%の会社もありますし、企業や独立を応援してくれる企業もあります。
過去に比べると転職しやすい世の中になりましたが、転職回数が多いだけで書類選考が通らなくなる可能性もあるので、気をつけてください。
まとめ:新卒採用は変化するかも。今後の動向に注意!
大学3年の3月に各企業が説明会を実施、大学4年の6月から本格的な採用選考が実施される。
表向きには就活スケジュールというものがありますが、実際は守っていない企業がほとんど。
大学3年生の冬には内定先が決まっている人もいるくらいです…。
実際、新卒一括採用は経団連や政府が何度も見直しを行っています。
今後は今のような就活スケジュールが廃止され、通年採用が一般的になるかもしれません。
あるいは海外のように、インターンシップからの選考が主流になるかもしれません。
「スケジュール通り、3月から動けば良いや」と考えるのではなく、積極的に情報収集することが大切です。
私も就活に役立つ情報を発信していきます!
一緒に頑張りましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました^^
就活がうまくいくことを願っています!